SSブログ
トップ中央のコピー.jpg

#920 おとなのおとこ...ごっこNo,43 [ ∟おとなのおとこ…ごっこ]

おとなのおとこ...ごっこNo,43
043.jpg

悪いのは私・・・
こいつを抱きたいと願った私のわがまま・・・
すべては私の咎なのだ・・・
              by牙のないオオカミ



悲しく、優しい物語・・・
森の中で傷つき死を覚悟した敗残兵に食料を運び続ける一匹のオオカミ
目を負傷した敗残兵には誰が運んでくれているのか分かりません

一方、オオカミは仲間から人間に優しくしていることを避難されます
「自分達を襲う人間を助けるなんて」
「ニンゲンは僕たちの仲間をたくさん、たくさん殺しているじゃないか」
オオカミは悲しそうに目を伏せます

「おまえの牙を見たら、怖くなって襲うに違いない」
「襲わなくても、怖くなって逃げてしまう」
オオカミは自分の体を岩にぶつけ、牙を折り、傷つきながらも男に食料を運び続けます
その意を汲んだ他の狼達は傷ついたオオカミの代わりに交代で男に食料を運びます

やがて男の仲間がやってきました
男はどうしても礼を言わなくてはいけない相手がいると仲間に告げ
オオカミが来るのを待ちます

その夜、オオカミは傷ついた体を寄り起して、男のもとに向かいます
男は気配に気づき目を覚まして、心から喜び目から涙を流してオオカミを抱きしめようとします
そのとき、男の仲間がオオカミに気づき
「危ない!」と叫んで傍の銃でオオカミを撃ちます
オオカミは一声、甲高く鳴いて地面に崩れ落ちました

男は呆然として声も出ない
手で地面を探りながら、オオカミに近付きます
そして、オオカミの口に牙のないことを知るのです
「おまえ・・・牙を・・・」
男はいとおしそうに、オオカミの体を何度も何度もさすりました

「どうして・・・どうして撃ったんだ!」
「どうしてって・・・」
「こいつは、私を怯えさすまいと、自らの牙を抜いてここに来たんだ。それなのにお前は!」
「牙がないなんて、私には分からなかった・・・それに、私はお前のことを心配して・・・」
「わかってる・・・そんなことはわかってる・・・お前を責めるのは筋違いだなんてことはわかっているんだ。
悪いのは私・・・こいつを抱きたいと願った私のわがまま・・・すべては私の咎なのだ・・・
しかし、どうしてこいつが死ななければならない・・・?
私はこいつに何もしてやれなかった・・・なのにこいつは・・・」

男はオオカミの亡骸を抱きしめ、天を仰いで大声をあげて泣きました
森の夜はますます深く、雨が森の葉を打つ音と、
男の嗚咽する声が森の中に深く深く染みわたっていきました


何が悪いのか?
誰が悪いのか?
男が言った咎とは何なのか?
夜中に一人で読み返すと、自然と涙が流れます。
最近知った、物語です


20記事毎にお送りしてます「おとなのおとこ...ごっこ」企画です。
モノクロームで漂うおとなの雰囲気の福助氏に
佐々木のお気に入りのフレーズを添えて。さあ召し上がれ。
この企画はそらまめ様・Rae様の同名企画をリスペクトして始まっております。
両氏の「おとなの...」も是非、ご賞味あれ。

●そらまめ様 「そらの虹色おさんぽ写真」
●Rae様    「MonMon だ モン!!!」

心にいつもオオカミを、ハンターマル氏の居るサイト
●ヤヨ様    「モノクロームキャッツ」

ランキング赤.jpg


nice!(32)  コメント(15)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ペット

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。